動物愛護法改正のひずみとは?

引用の出典元:www.youtube.com

動物愛護法は、1973年(昭和48年)に制定されました。

動物虐待や遺棄の防止、適性な取り扱いなどを法で定めることで、国民に動物を愛護する気風や、命の大切さなどを持ってもらい、「人と動物の共生する社会の実現」が目的です。

その後、1999年(平成11年)、2005年(平成17年)と改正が行われ、最も近いのは2013年(平成25年)に施行されました。

新・改正法には「殺処分がなくなることを目指す」と明記され、各都道府県は動物取扱業者からの引き取りを拒否できるようになったことが、ことの発端です。

それまでは、業者が"不要"とした生体を殺処分するために、保健所等に引き取ってもらうことが可能でした。しかし、この法改正により、業者が"不要"とした生体の行き先がなくなってしまったのです。

動物保護団体や個人活動家もすでに手一杯な状況の中、「行き先がない」という大きなひずみによって、「引き取り屋」と呼ばれる業者の需要が増し、悪質な業者が暗躍し始めました。

暗躍する「引き取り屋」の言い分は言い訳でしかない

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引き取り屋とは、ブリーダーやペットオークション、ペットショップなどから"不要"とされ、行き場を失った犬や猫などを有償で引き取る業者や人のことを言います。

引き取り屋は、引き取った犬や猫などを転売しますが、そうでない場合は無料で譲渡するか自分で終生飼い続けます。

ここまでは、法に違反しているわけでもなく、一見、動物保護団体などのビジネス版のようにも見えますが、実態はまるっきり違っています。

引き取り屋の問題点は、完全に犬猫をお金を得るための"道具"として扱い大量に引き受けることが多く、清掃やしつけもなされていません。また、医療を受けさせずにケージの中で見殺しにされるケースもあります。

飼い殺しが起きるほど悪質な業者には、動物愛護団体や近隣住民らの告発によって、動物愛護管理法違反の疑いで警察の調査が入り法的措置がとられます。

報道各局がこうした引き取り屋の実態を取材したところ、引き取り屋にも言い分があることが見えてきました。

「犬や猫が手に負えないほど、どんどん来るんだよ。死ぬまで置いておいてもいいや」

「保健所で殺されるのが可哀想だから、引き取ってあげたほうがまし」

「できることならやめたいよ。ただ、やめないでくれっていう声がいっぱいくるから」

しかし、こうした言い分からは本当の愛情は見えてこず、言い訳にしか聞こえません。愛情があれば、水とエサだけを与えて、あとはほったらかし、という飼育放棄はできないはずです。

あくまでも1匹引き取っていくら、転売していくら、という金勘定を中心にしているからこそ、犬猫たちは劣悪な環境下で、不幸せな運命を背負わされてしまうのです。

保健所で失われる小さな命も、引き取り屋で失われる小さな命も、その尊さに違いはありません。命をお金でやり取りすることの矛盾が生み出した悲劇がそこに在るだけです。

2014年には、栃木県の引取り業者が一度に80匹の犬を引き取った挙句、ほとんどを死なせてしまい河原に遺棄した、という痛ましい事件も起きています。

不本意ながらも命を粗末に扱うことに加担してしまう

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本来は、命を"不要"と扱うこと自体が愛護法に則っていませんが、悪質なペットビジネス関係者は「商品価値がない命は不要だ」と、考えているのが現実です。

もちろん、悪質な考えを持たないペットビジネス関係者は数多くいます。まして直接子犬を繁殖させるブリーダーであれば、命を不要だと思ったことすらないかもしれません。

しかし、ブリーダーとて、売れない子犬や老いた繁殖犬の処遇を考えざるを得ません。

考えた結果、自分が飼い続けるか、保健所に引き取ってもらうか、引き取り屋にお金を払って引き取ってもらうか、自分で処分するか…の4択を迫られるのです。

かつて数多くのペットショップで働いていた女性がいます。現実を知ってほしくてテレビ局の取材に応じました。

女性は、ほとんどのペットショップは引き取り屋に頼っていたし、存在がなければショップがなりたたない、と語っています。

売れ残った犬や病気で手がかかる犬たちは、「ビジネスとして考えたときにお金にならない」と、ショップ運営者は考えていたのです。

「生体を販売し利益を得る」というビジネスモデルは、不本意ながらも命を粗末に扱うことに加担する人々を生み出してしまうことが見えてきます。

無駄に失われる命をなくすために

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ペット業界の流通の仕組みを根本的に変えない限り、"必要悪"とされる引き取り屋はなくならず、悲惨なことが延々と繰り返されてしまいます。

日本での流通の仕組みは、「ブリーダー」→「ペットオークション」→「ペットショップ」→「飼い主」となっており、各段階で業者から見た"不要なペット"が発生しているのです。

ペット業界の事情に詳しい人たちはどのように考えているのでしょうか。テレビ取材を受けた際の内容から紹介します。

東京大学名誉教授の林良博さんは、次のように語っています。


「大量生産・大量消費、これはペットには似合わない仕組みなんだということだけは間違いない。命あるものを。必ず余剰なものが出てきますから。そうすると、引き取り屋みたいな人が暗躍する社会になりますね」

出典:クローズアップ現代


弁護士の細川敦史さんは、次のように考えています。


「引き取り屋にはケージの大きさやスタッフの数を規定し、ブリーダーには1匹当たりの繁殖回数を制限し、動物愛護法で規制を強化する必要がある」

出典:みんなのニュース ワンダー | 関西テレビ放送 KTV


ペットに関する様々な問題を取材する、朝日新聞の太田匡彦さんは、スタート地点のブリーダーと最終地点の飼い主の在り方変革を提案しています。


「ブリーダーさんが丁寧に1頭1頭を受注生産方式のイメージで販売していくこと、保護犬・保護猫を飼うといったことが併存していくような状況になると、ずいぶん変わっていくのではないかと思います」

出典:ペットの王国 ワンだランド


この太田さんの提案は、犬猫の命が無駄に失われない流通の仕組みとして、かなり有効なのではないかと感じます。


引用の出典元:pixabay

ブームにあおられてはいけない


ペットと暮らしたい、という素朴な人間の願いは、1兆4千億円とも言われるペットビジネスを生み出しました。

しかし、どんなビジネスにも仕掛けがあることを思い出してください。雑誌、CM、テレビなど、どれだけのマスコミがペットブームをあおっているのでしょう。

お金や視聴率に繋がるからとブームをあおるのではなく、動物たちと暮らすことのメリットとデメリット、そして命の大切さをしっかりと伝え、可愛いから飼う(買う)ことを止めさせるのも、マスコミの使命なのではないでしょうか。


次の法改正に向けた取り組み


環境省では、2018年(平成30年)の法改正に向け、繁殖回数の制限やケージの広さなど、飼育環境の明確な基準を設けたいとしています。

また、次の法改正に向けて「NPO法人 動物実験の廃止を求める会」「NPO法人アニマルライツセンター」「PEACE 命の搾取ではなく尊厳を」では、より良い動物愛護法にするべく、衆参両院議長にあてた署名活動を行っています。

悪質な引き取り屋やペットショップなどをなくしたい、殺処分問題をなんとかしたい、動物虐待をしたら厳しい罰則を、と考えている人は、請願署名で気持ちを形に現すことができるので、一度内容を確認してみてください。

動物愛護法の改正署名にご協力を! | NPO法人 動物実験の廃止を求める会(JAVA)

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Tsunayoshi ひまわり
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