田んぼの横をトコトコ歩くダックスフンド

引用の出典元:www.facebook.com

ダックスフンドが発見されたのは2016年9月22日の早朝5時ごろでした。新聞配達を終えた加藤さんがバイクで自宅近くまで差し掛かると、田んぼの横をトコトコ歩く1匹のダックスフンドが!

加藤さんは、車に轢かれてはいけないと、バイクのカゴにダックスフンドを入れると、100メートル先の自宅へと急ぎます。

ダックスフンドをバイクから降ろし玄関のドアを開けると、一目散に部屋の中に上がり込みました。加藤さんもシベリアンハスキーを飼っていたことがあるので、犬が大好きで放っておけなかったのです。

しかし、このワンコに付けてあげる首輪もなければ、午前中はまた新聞配達店での仕事が待っていました。そこで、7時ごろになってから、すぐそばの豆柴を飼っている岡田さん宅に相談しに行きます。

岡田さんは、ちょうど良いサイズの首輪と長いロープがあったので、とりあえず庭に繋いで水とドッグフードを与え様子をみることに。

岡田さんが住んでいるエリアは昔からの集落で、ご近所さんとは毎日のように会話があり、日頃からコミュニケーションが取られています。

岡田さん周辺のお宅はみな犬を飼っていて、犬の散歩帰りに見慣れない犬がいることに、みなすぐに気が付きます。あれよあれよという間に3人の犬好きさんたちが集まりました。

岩崎さん:「ダニも付いてないし、毛並みもキレイだよね~。あれ!?爪も足の毛もカットされている!だけど、だいぶ歯槽膿漏が進んでるみたいよ。このワンコ、脱走しちゃったんじゃない?」

岡田さん:「ホントよ~。きっと部屋で飼っちょったはず。"家に入れて入れて"ってクンクン鳴くのよ~。捨て犬とは思えんちゃが。」

長友さん「どうしますか?保健所に飼い主さんが連絡を入れているかもしれませんよね。電話して保護してもらいましょうか?」

岡田さん:「だけど、保健所に預けたら1週間で殺処分でしょ~。もし、飼い主さんが見つからんかったら可哀想で…。」

喧々諤々(けんけんがくがく)、みな自分たちの愛犬を道路に座らせながら、ダックスフンド君を心配する会話で大盛り上がり。

迷子犬・ダックスフンド保護の貼り紙を

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迷子犬のダックスフンド君をどうするか話し合った結果、一度このワンコを連れて町内を訪ね歩いてみよう、ということになりました。

長友さんは、『迷子犬を預かっています』と書いた貼り紙を作り、岡田さんと2人で飼い主さん探しを始めます。

そこに、ヤクルトの配達の人が通りかかり、岡田さんが「この犬、知ら~ん?」と声掛けすると、「あれ?この子、杉林さんちのロン君かも!ちょっと聞いてきます!パートさん全員にメールしておきますから。」とバイクで杉林さん宅へ。

結果、ロン君はちゃんと家にいたのですが、杉林さんの協力でお宅の壁に『迷子犬の貼り紙』を貼ってくれることに。

このワンコは町内では見かけない子だということで、2人は少し離れたエリアまでダックス君と歩き続けます。祝日だったこともあり、家の外で洗車や子供と遊んでいる人が多く、みなに声を掛けて回りました。

車通りの多い場所の電柱にも『迷子犬の貼り紙』をペタリ。通りかかった小学生の女の子2人にも、「もし知り合いで迷子犬の飼い主がわかったら教えてね」と伝えます。

あちこちの道で「迷子犬ですよ~!」と呼び掛けながら歩き続けるも、飼い主さんに繋がる手がかりはまったくありませんでした。

日も高くなり暑いので岡田さん宅に戻り、夕方まで様子を見ることになります。岡田さん宅の豆柴ちゃんは、外に繋がれているダックスフント君をじっと見つめて何か話しているようでした。

豆柴ちゃんは、「普段と違う様子にご飯を一口も食べない」と、岡田さんは語ります。

葛藤の末、保健所に連絡

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夕方6時になり、日が暮れかかってきたところで、再度ご近所さんたちのミーティングがもたれました。岡田さんは翌日、朝から出掛ける予定があり預かれません。岩崎さんは犬が2匹いますし、長友さんも仕事で預かれません。

みな一様に、「今、犬を飼っていなければ、飼い主さんが出てくるまで預かれるのにね…。ゴメンね、ダックス君。」と、たった一晩ですら預かることができない状況に、歯がゆい思いを抱えていました。

祝日でしたが念のため保健所に電話してみることに。「飼い主さんからは連絡がありませんが、明日以降、連絡が入ったときに情報がないと困るので、祝日でも預かりに伺います。7時ごろにはそちらに到着できますので。」という内容でした。

電話を切ったところで、午前中に声掛けしていた小学生の女の子が2人やって来て、「飼い主さん探しのお手伝いに来ました!」と頼もしい応援が。保健所が今から来ることを伝えると、ちょっと寂しそうにワンコをなでなで。

さらには6時半ごろ、もう一人別の小学生の女の子が来ます。飼い主らしき年配女性が家に訪ねてきた、という有力情報が入りました。

ダックスフンド君を抱っこしている岡田さん始め、長友さんもみな保健所を断って、家で預かったほうが良いのか戸惑い始めます。

「一晩中、外でずっと鳴かせておくわけにもいかないし、玄関に入れてあげようか。だけど明日早いから、どうにもならんよね…。」

岡田さんが有力情報の提供者宅に電話を入れてみると、「残念ながら、その人がどこの家の人かはわからないんです。役員をやっているんで、連絡網を回して何とか飼い主さん探しをしてみます。」と協力を申し出てくれました。



そして、7時少し前。暗闇の中をヘッドライトを付けた1台のバンが、ゆっくりと走行して来ます。保健所から2人の職員さんが到着しました。

すぐに、ダックスフンド君の体にマイクロチップが入っていないかを確認しましたが、やはり装着されていませんでした。

職員さんに、飼い主に繋がる有力情報があったことを伝えると、「もちろん、一晩お宅で預かっていただいても構いません。どうしますか?」とのこと。

岡田さんは「一晩だけでも預かりたい気持ちは山々なんですが、事情があって誰も預かれないんです。そちらで安全に保護してあげてください。」と、涙ながらに伝えます。

長友さんはその涙を見て、「万が一、7日経っても飼い主さんが現れなかったら殺処分されるんですか?」と尋ねると、「大丈夫ですよ。今はすぐに殺処分することはなく、里親さんを探すことのほうが多いんです。めったなことでは殺処分になることはないんですよ。」という答えでした。

迷子犬の情報を聞きつけた人も合わせて、そこにいた8人は保健所の職員さんの言葉に胸を撫でおろし「たぶん、その女性が明日保健所に連絡するはず!」と少し笑顔が戻りました。

迷子犬を中心に、多くの人たちが心配し協力する姿には心が温かくなります。人と人との繋がりは本当に大切ですね。

保健所の車に乗せられていくダックスフンド君…

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保健所の職員さんには、迷子犬のダックスフンド君は室内で飼われていたようで、外でオシッコができないということ、歯槽膿漏で柔らかいエサしか食べられないこと、足の爪も毛もカットされていて体もキレイにしてあったことなど、迷子犬の情報が全部伝えられました。



丸一日、迷子犬・ダックス君の面倒をみていた岡田さんご夫婦は涙ぐんで迷子犬にサヨナラをし、そこにいた8人全員が絶対に飼い主さんが引取りに来てくれることを信じて、保健所の方に引き渡しました。

そして翌朝!岡田さん宅に迷子犬の飼い主さんから電話が入ったのです!!歩いて15分ぐらいのお宅のワンコでした。飼い主さんは連絡網の自治体ではなかったものの、連絡網を受けた方が飼い主さんにお宅の犬じゃないか?と電話してくれていたのです。

なんでも、最近、若奥さんに赤ちゃんが産まれて、室内犬から外犬として飼育し始めたばかりだったそうです。朝起きたら、首輪がスッポリと抜けて脱走していたことがわかり、お母さんが探していたのでした。

飼い主さんは午前中に保健所に引取りに行ったということで、迷子犬は無事に家族の元に戻ることができました。

しかし、1点だけ気になることがあります。室内犬から外犬にした、という点です。確かに赤ちゃんが寝ているそばを犬が走り回れば、何かと心配があるかもしれませんが、先に住んでいたのはワンコです。

人間の都合を優先した結果、室内犬を外で飼うというのは犬の気持ちを理解してあげていないのでは?と感じます。ダックスフント君にとって相当なストレスだったはず。

現に、第一発見者の新聞屋さん宅に一目散に入り込んでいますし、岡田さん宅の庭に繋がれていた12時間もの間、一睡もせずに窓に向かって何度も小さな声でクンクン鳴いていました。

『僕はどうしてお外なの?お家に入りたいんだ。僕は嫌われちゃったのかな…。僕はどこかに行っちゃったほうがイイのかもしれない…。』

もし、ダックスフンド君がお話しできたら、こんな風に思って脱走してしまったのかもしれません。

ダックスフンドは室内で飼うのが一般的です。もちろん100%そうでなければいけない、と言い切ることはできませんが、それでも室内犬を外で飼育するのはあまりにも心身にかかる負担が大きすぎます。

今回の脱走を機に、飼い主さんが愛犬の気持ちを今一度考えてくれることを祈ります。

※文中人物名は仮名です。

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この記事を書いたライター

Tsunayoshi ひまわり
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