26年に渡り犬の繁殖能力を研究

引用の出典元:pixabay.com

英国、ノッティンガム大学獣医学科のリチャード・G・リー博士らの研究は、1988年から2014年の26年間という長期に渡り、健康なオス犬たちを対象にした精子の減少と化学物質との関係性を知るために行われました。

研究対象となったのは、ラブラドルレトリバー、ゴールデンレトリバー、カーリーコートレトリバー、ボーダーコリー、ジャーマンシェパードの5犬種です。

犬の繁殖力を調べるためには、純血種であることや同じ場所や環境など同一条件下で育つことが必要なため、補助犬育成施設の協力を得ました。

博士らは、上記5犬種の犬たちが代々に渡り繁殖していくデータを取り続けました。

その方法は、毎年、42~97頭の犬たちの精子のサンプルを収集し、どの程度精子の運動率が正常なのかを計測するものです。

研究から見えてきたのは精子の能力低下だけではなかった

引用の出典元:pixabay.com

26年間に及ぶ研究から見えてきたのは、犬の精子の能力が低下していることでした。精子が元気がどうかがわかる前運動性をみたところ、スタートから26年後には、5犬種すべてにおいて30パーセント運動能力が低下していたのです。

研究がスタートした1988年から1998年の10年間の追跡結果からは、精子の運動率は毎年2.5パーセントの割合で減少していることが、続く1999年から2001年までの2年間の結果は、毎年1.2パーセントの減少が確認されました。

今後、こうした運動性がさらに低下していくことが予測され、これは最終的には子どもを作る能力自体に害を及ぼす可能性があると言います。

研究により見えてきたのは、精子の質の低下だけに留まりませんでした。こうしたオス犬から生まれた子犬が「潜在精巣(※1)」になるケースが10倍増加することも発見しました。

(※1)潜在精巣:犬全体の7パーセント未満にみられる、陰嚢内に精巣が正常に降りてこない病気。停留精巣、停留睾丸とも呼ばれ、チワワやボクサー、ジャーマンシェパードに多いと言われる。精子を作る能力がほぼ無いことや、精巣腫瘍のリスクが高まる。

なお、潜在精巣は遺伝的要素があるが、この研究においては近親交配等を排除している。5犬種すべてにみられたことから、原因は遺伝ではないことを示唆するものである。

さらに、1994年から2014年の調査では、メスの子犬の死亡率が3倍の増加を示したことに気づきました。

生殖機能を低下させる原因となる物質は?

引用の出典元:pixabay.com

こうしたモニタリング結果から判ったのは、犬の精子の質の低下や精巣の病気といった、明らかな生殖機能低下が起きていることでした。

5犬種の精液や、同じ地域で暮らす繁殖を終えたオスや去勢したオス犬たちの精巣を調べることで、以下のような化学物質が原因ではないか、と推測されました。

精液や精巣からは、「PCB(ポリ塩化ビフェニル)」、「DEHP(フタル酸ジエチルヘキシル)」という化学物質の濃度が高く検出されたのです。

PCBは変圧器や電気機器用の絶縁油などに使われ、慢性摂取することで体内に蓄積し粘膜や爪関節などに悪影響を与える化学物質です。現在の日本では、新たに製造することは禁止されています。

DEHPは環境ホルモンの1つで、プラスティックを柔らかくすることから、食器を始め塩ビ手袋、医療用具、文房具、オモチャなど様々な場面で使われ、加熱などで溶け出した物質の摂取により、オスのメス化現象や精子の減少などが懸念されています。

博士らの研究では、恐るべきことに、こうした化学物質はドッグフードからも検出されていることが判りました。

ブランド名こそ公表しませんでしたが、ドライフードウェットフードなど世界中で販売されている、と言及しています。

実際、こうした化学物質は直接ドッグフードに添加される添加物ではないことにも注目です。

この研究では、どのようにしてこれらの化学物質がフードに混入するかまでの実験は行っていませんが、博士らによるとフードを製造する際の水や包装に含まれている可能性があると推測しています。

最終的に「これらの化学物質が、精子の質などを低下させ生殖能力の低下を決定づける原因とは言い切れないが、主な原因である」と発表しています。

これまでの研究はオス犬についてのみだったのですが、現在はメス犬の卵巣組織を研究しており、化学物質により生殖に何らかの問題がないかを確認中とのこと。

こうした研究結果を聞くと、改めて化学物質の恐ろしさが襲ってきます。愛犬も飼い主もこうした化学物質から身を守るには、最低限の勉強をして不必要に摂取しないことが必要だと感じました。

以下の参考サイトなど、PCBやDEHPについて詳しく知りたい方は、ぜひご自身で調べてみてください。
『JESCO』 ←PCB詳細
『独立行政法人 製品評価技術基盤機構』 ←DEHP詳細

参照サイト:A Warning for Dogs, and Their Best Friends, in Study of Fertility - The New York Times

\クリックするだけ!/無料でNPOを支援する方法

Tsunayoshiでは、誰でも簡単に動物保護団体を支援できる新しい取り組み始めました。みんなの「いいね!」で動物愛護の輪を広めませんか?目指せ、殺処分ゼロ!

興味のあるページに「いいね!」した後は記事をシェアして、多く人に動物愛護に関心を持ってもらいましょう!

無料で動物保護団体を支援する

協力:NPOを無料で簡単に支援できる!gooddo

この記事についたタグ

この記事を書いたライター

Tsunayoshi ひまわり
読者の皆様により良い情報をお届けします!

話題のキーワード

今話題のしつけ関連ワード