眉に現れる、犬の感情

人間同士であれば表情を見て相手が抱いている感情を推測しやすいものですが、犬の表情はどうしても人が作る表情をベースに考えてしまいがちで、読み間違えてしまうこともあります。言葉を使ったり表情を通じてのコミュニケーションが取りにくい分、私たちは犬のボディランゲージに注目をして犬がどのような感情を抱いているか推測しますが、そのひとつに尻尾の状態があります。さまざまな感情が尻尾の振り幅や位置などに現れますが、そのときに抱いている感情により左右の振れ幅に偏りが出ることがこれまでの実験により示されています。このような偏りは左脳と右脳が持つ機能の違い、側性化により生ずるもので、人の表情はもちろん、利き手や利き目など、脳機能の側性化は実に多くの動物において観察されています。

そしてこのたび、犬の感情の側性化が現れるのは尻尾だけでなく顔にも現れているということを、麻布大学獣医学部伴侶動物学研究室、特任助教の永澤美穂先生らが明らかにし、動物行動学の専門誌『Behavioural Process』に発表しました。永澤先生には以前、オキシトシン研究などについて伺い、インタビュー記事(1)、(2)でご紹介しています。

永澤先生らは、4つの状況下(飼い主、見知らぬ人、非社会的好刺激、非社会的嫌悪刺激)におかれた時の犬の顔の変化について、顔の各部位に色つきのタグを付けた12頭の犬を高速度カメラで撮影して解析を行いました。すると犬は、見知らぬ人に会った時と比較すると、飼い主に会った場合にはその約半秒後に左の眉を上の方向に動かす傾向が見られました。一方、見知らぬ人に会った時には、左耳を後ろの方へわずかにそらしました。また、犬が嫌いなもの、爪切りのようなものを示された場合には、左耳ではなく右耳を動かしたそうです。これらいずれについても側性化が見られたことは、それぞれの感情について脳が司る部分が異なることを示唆するとしています。実験の様子は、以下のニュース映像で紹介されています。


犬の耳は、尻尾と同様に感情の良く表れる部位でもあります。嫌いなもの、知らない人に対して用心したために耳の位置が変化したと永澤先生はいいます。眉の位置変化については、犬が飼い主をより一生懸命見ようとすることにより、飼い主に対して目に見える反応(表情の変化)を現した結果とも考えられ、またそこには、飼い主に会えたという喜びと、会えたにも関わらず近くに寄ることができないという悲しみの感情の両方が含まれている可能性があるといっています。

このような研究が進められることで、人が犬のボディランゲージをさらに理解していけるようになるといいですよね。毛の長い犬はちょっとした顔の動きが見えにくいかもしれませんが、愛犬の感情が顔のどこに、どのような変化として現れるのか、実際に観察してみるのも興味深いことと思います。飼い主の方々やプロのトレーナーの方々の観察眼が、このような研究を行うヒントとなっていくとしたら、さらにまた興味深いものへとなっていくと思うものです。

著者:The dog actually Times
転載元:眉に現れる、犬の感情 | dog actually - 犬を感じるブログメディア


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