飼い主探しにすら参加出来ない犬たちの存在

「この子は家庭でかわいがられる可能性があると思うんです!」

ボランティア団体の代表者の女性は熱のこもった口調で、私に<マッシュ>という犬を紹介してくれました。

私にも会ってすぐにその意味がわかりました。

マッシュは数回の飼育放棄・長年の保護生活というつらい過去をまったく感じさせない笑顔で、私を歓迎してくれたからでした。

私がその時訪れた保護場所は、はっきり言えば「新たな家族を見つけるのがむずかしい」と判断された犬たちがいる場所でした。極度の人間不信で触れることすら出来ない犬や、人や他の犬に対して本気で噛みつきに来る犬、老齢などその理由はさまざま。その場にいる犬はボランティアさんによって出来る範囲の世話と愛情を受けて、そのまま寿命を迎えることが多いとのことでした。

実際に大半の犬は初めて見る私に対して警戒心をあらわにして吠えたり、隠れたり、震えたり、固まったり…。一体この子たちはこれまでどんな目にあってきたのだろう…と胸が詰まる思いでした。

そんな中でマッシュは、唯一しっぽをブンブンと振りながら笑顔で飛びついてきたのです。

里親を探すうえで「人間が好き」ということは大きなアドバンテージになります。人間に対して攻撃性を持つ犬は里親募集をすることすら躊躇われるものですし、恐怖心などから人になつかない犬はなかなか貰い手がつかないのが実情。

やはり一般家庭では「かわいがりたい」という思いで犬を飼い始めると思うので、なつかない犬を飼おうとは思えないのも当然のことでしょう。

何年も何年も、笑顔で「家族」を待ち続けるということ

つぶらな瞳で笑顔がかわいいマッシュですが、長年飼い主に恵まれずにいます。

まだ赤ちゃんの頃に兄弟犬と共に放棄され、ボランティアの方の手によって保護されました。明るく元気、とても家庭向きな性格の持ち主ですが、体の大きな雑種ということもあってなかなか貰い手が見つかりませんでした。

日本の住宅事情やペットブームなどもあり、やはり貰い手がつきやすいのは小型犬。チワワやダックス、トイプードルなどの人気犬種や年齢が若い犬は比較的里親が見つかりやすいとされています。

雑種の大型犬、しかもパワフルということでマッシュのご縁がつながらないまま数年が過ぎましたが、ある時チャンスが巡ってきました。

明るいマッシュを気に入り、ある家庭が引き取ってくれたのです。

しかしマッシュは、あっという間に戻ってきてしまいました。里親を希望された方から「元気過ぎて手に負えない」と戻されてしまったのです。

その時マッシュは、どんな気持ちだったのでしょう。

はじめて自分だけを見て、なでて、かわいがってくれる家族が出来たのに、喜びも束の間、その家族から「いらない」と言われてしまった気持ち。

体重は約30kg、筋肉質で力強い身体を持ち、常にテンションが高くとにかく元気いっぱい!!たしかに、誰にでも飼いやすい犬というわけではないでしょう。

ボランティア団体の方は「引き渡しの時意思を確認したのに…。マッシュにかわいそうなことをした。」と後悔の念を見せました。

その日からまた何年も過ぎ、もうシニア期に入る年になってしまいました。

それでもマッシュは人に失望することなく、今も笑顔で自分だけを見てくれる家族を待ち続けています。

後編に続く-

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Tsunayoshi MEG
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