紀州犬が脱走し人間を噛む

引用の出典元:www.chibanippo.co.jp

この事件は、2015年9月13日の夜から14日の未明にかけて起きました。千葉県松戸市に住む71歳の夫婦が飼っていた紀州犬が脱走し、大人2人を襲ってしまいました。駆けつけた警察官3人は、緊急事態に迫られて13発発砲し紀州犬を射殺したのです。

この事件の詳細はこうです。夜9時過ぎに10代の男子大学生が右腕を噛まれ、警察に通報します。警察官ら50人と飼い主が辺りを捜索している中、夜中の2時ごろに今度は20代の女性が襲われました。

その30分後、紀州犬の飼い主がエサをダシに捕まえようとしたのですが、興奮していた紀州犬は「そのエサをよこせ!」と言わんばかりに、エサを持っていた左手に噛み付きにかかったのです。

信じられないことに、飼い主は慣れた手つきで犬を殴りつけたところ、殴った右腕を噛み付かれ襲撃されてしまいます。この様子は近所の防犯カメラに映されていました。

ちょうどそこに駆け付けた警察官3人は、飼い主に緊急避難だとして拳銃を使い射殺する許可を得ると同時に、犬から離れるように伝えます。

飼い主が自力で犬を振り払ったとたん、犬は警察官に向かって来たため13発の銃弾を発砲し、射殺しました。

発砲によるケガ人はなかったものの、外れた銃弾が民家や車などを傷付け、2発は見つからなかったという事件でした。

犬の飼育環境は虐待ともいえる状況だった!?



この事件を人間目線で考えれば、犬に噛み殺される危険を止めるということで射殺したのでしょう。しかし、当の紀州犬の目線で見ると全く違う世界が見えてきます。

紀州犬は体長約120センチ程度の7歳のオスです。飼い主は日頃から散歩をさせることは一切なく、家の外に設置されたエアコン室外機の支柱に7メートルのワイヤーを通し首輪を付けて飼育していました。

今回、紀州犬が脱走したのは、首輪の連結部が破損したことが原因でした。近所の人によれば、まるでゴミ屋敷のような状況で飼い主が犬を殴りつけている姿を頻繁に目撃していたとのこと。

犬は水とご飯さえあれば、確かに命は繋がれるかもしれません。しかし、散歩や飼い主から可愛がられることを知らずに何年も飼育放棄されてしまえば、心はどこか歪んでしまいます。

この紀州犬も、相当な人間不信と運動不足によるストレスが蓄積していたのでしょう。飼い主によると、「数年前から散歩をさせなくなったのを機に、飼い主の家族を噛むようになった」ということでした。

紀州犬の立場になって考えると、脱走してやっと自由になったものの、飼い主以外にも恐怖の対象である人間がいる!と、思考が混乱してしまい、いつも殴られている右腕目がけて噛んでしまったのかもしれません。

問題行動を起こす犬たちの背景には、いつも飼い主の問題が隠れているのです。責めるべきは紀州犬ではなく、飼い主なのです。

警察官の対応に批判の声も

引用の出典元:www.telegraph.co.uk

松戸署は、この辺りは小学生も多いため被害の拡大を恐れ、夜が明ける前に対処するべきと判断し、飼い主に了承を得た上での射殺であり適正かつ妥当だったとしています。

犬用の檻や網などによる捕獲も準備していたようですが、飼い主に紀州犬が覆いかぶさった状況下では射殺するしかなかったようです。

この事件の報道後、県警には全国から警察官への激励の声が寄せられる一方で、「そこまで撃つ必要があったのか」「通行人の安全確保は?」といった批判の意見が500件以上寄せられました。

そして、この事件からおよそ1ヶ月後、千葉県警から新たな対応策が打ち出されました。

「犬への拳銃使用は効果が低く、跳弾により危険性が高まる」と判断し、犬の捕獲器具を使うなど発砲以外の方法で捕まえる対応策を県内全署に周知する方針をまとめたのです。

飼い主には飼育教育が施されるべき?

悲しい事件から5ヶ月後の2016年2月、飼い主は不起訴処分となりました。しかし、罪にならないからといって、飼い主に問題がなかったわけではありません。

「犬を飼う」ということについて、もう一度深く考え直して欲しいものです。

そして、今回のような「劣悪な飼育環境、暴力行為、散歩もなし」といった、動物虐待ともいえる犬の飼い方をしている飼い主がご近所にいる、という方も意外と多いのではないでしょうか?

私たち人間が犬を不幸にしないためには、犬の飼い主になる前に、一定の知識や準備が不可欠です。しかし、現状はどんな人間であっても、簡単に犬を飼うことができてしまいます。犬を飼うための知識や技能、倫理観に対しては制限が設けられていません。

犬を家族として迎える前に、犬のしつけ方や家族として暮らすことの意味を学ぶ機会を強制的に持たせると同時に、犬種に合った飼育環境が整っているか、などのチェック体制も必要なのではないでしょうか?

今後の健全な犬社会を築くためにも、人間側の飼育教育が求められていると感じた事件でした。

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この記事を書いたライター

Tsunayoshi ひまわり
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