アメリカの人気犬種、ブルドッグ

引用の出典元:www.gettyimages.co.jp

日本でのブルドッグの飼育頭数は、ジャパン・ケネル・クラブの2015年度の発表によれば1022頭。28番目によく飼われている犬種です。

一方、近年におけるアメリカでのブルドッグの人気ぶりには目を見張るものがあります。アメリカン・ケネル・クラブの2015年の発表では、ブルドッグは人気犬種の4位に。

ブルドッグが初めて人気犬種のベスト10入りをしたのは、2007年のこと。それ以降少しずつ順位を上げ、ここ数年はベスト5入りするぐらいの人気です。ブルドッグの爆発的人気は、ここ10年ほどで起きたようです。

思えばこの人気の兆候はすでに著者が渡米した2005年に、その片鱗を見せていたようです。周りのアメリカ人からブルドッグが飼いたいという話をよく耳にするようになったからです。

ブルドッグは素晴らしい家庭犬だと思います。

しかし、万人受けする容姿とは言い難いイメージがあったので、ちょっと意外だったのを覚えています。

また、他の犬種の仔犬が平均500から1000ドルほどでブリーダーから入手できるのに対し、ブルドッグは約2000ドルが相場でした。高額にも関わらず、需要は増え続けたようです。

今年に入って友人もブルドッグを飼い始めました。身近にブルドッグを飼う人が出てきて、ブルドッグは本当に人気があるのだと実感しました。

そんな飛ぶ鳥を落とす勢いの人気犬種ブルドッグですが、その人気故に存続の危機が懸念されています。Canine Genetics and Epidemiology journalのレポートによると、同系(近親)交配が多過ぎたために、将来的に健康なブルドッグの子犬が生まれにくくなるかもしれないのだそうです。

ブルドッグの健康問題

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ブルドッグに詳しい方は驚かないでしょうが、ブルドッグは様々な健康問題を抱える個体が多い傾向にあります。たとえば、腰の異常形成やチェリーアイ、アレルギー、心臓疾患などが主にこの犬種によくみられます。

現在の姿のブルドッグを生み出すまでに繰り返されてきた交配は、より多くの人を惹きつけるのには有効的であったかも知れません。しかし、必ずしも必要であったわけではないのです。

カリフォルニア州立大学デイビス校の教授の話では、ブルドッグにおける健康問題の数々は、彼らの身体の構造と同系交配によるところが大きいとしています。遺伝子的に多様性が少ないことが原因です。

遺伝子が多様であると、遺伝子型(生物に内在する遺伝子の構成)や表現型(肉眼で見える生物の形成)を正したり、有害な劣性突然変異を排除したり、身体の構造や皮膚を変化させたりすることが可能なのです。

研究では、ブルドッグによくある健康問題は同系列の父犬・母犬から発生していることが多いことを突き止めています。この問題は、利益に走った一部のブリーダーやパピーミルが生み出した負の産物だといえるでしょう。

研究者によって、ブルドッグのゲノムは数百年で大きく変化しており、そのほとんどは体形や容姿にまつわるものだということも分かりました。特に過去20年における変化は著しいものがあります。

ブルドッグはよりガッチリした体形で、より短い口吻であることが好まれるようになりました。その過程において、健康である個体を繁殖することが蔑ろにされてしまったのです。

健康問題と寿命の関係

引用の出典元:www.lifewithdogs.tv

前途の教授は語ります。


ブルドッグの皮膚にある皺は蒸れやすくなり、それによって感染症にかかりやすくなってしまった。また、骨は変形し、脊髄の破裂や腰や肘の骨の形成異常がよくみられるようになってしまった。多くのブルドッグには何らかの異常があると言わざるを得ません。骨格が変化したことにより、自然分娩をすることが困難になりました。その結果、帝王切開による出産が増えたのです。ブルドッグの生存能力が低くなってきている理由が理解出来るでしょう。



そのせいか、ブルドッグの平均寿命は短いとされています。教授によると、アメリカのブルドッグの平均寿命は約6年。生後1年を迎えるまでに健康問題が多くみられる仔犬は、大体において4年半から5年ほどしか生きられないのだとか。もし最初の1年が健康で過ごせた場合は、8年ぐらいの寿命を期待出来ると言われています。

この平均寿命は、例えば30パウンドのミックス犬が平均15年から17年生きる事実と比較すると、大変短いのは明らかです。

現在アメリカの一部のブルドッグのブリーダーと獣医士や動物愛護の活動家の間では、ブルドッグに関する熱い討論がなされています。前者は、純血種であることが非常に大切だと考え、一方、後者は、ブルドッグに他の犬種の血を入れることでブルドッグの健康問題が解消できるのではないかという主張です。

「ただブルドッグが愛情深く、室内飼いに向いた犬種だから…ただブルドッグが人気があるから…そんな理由なら繁殖は控えるべき。それらが不健康な仔犬を繁殖していい言い訳にはならない。」教授は後者に賛同しています。

人気犬種の宿命か?

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日本でも過去に、人気犬種が知識に乏しいブリーダーや悪徳ブリーダーによって乱繁殖され、その結果数々の健康問題を抱えて生まれた子犬が多くいたことは、周知の通りです。ゴールデンレトリバーやミニチュアダックスフンドなどは、その代表的な例でしょう。

アメリカは国土が広いことや人種の多様性から、日本のように短期間で何かが爆発的に流行することは少ない傾向があります。犬にも同じことが言えます。そのため、人気犬種の動向には大きな変化はありません。

その中で、ここ10年のブルドッグ(及び、フレンチブルドッグ)の人気は、着目するに値します。今後アメリカでブルドッグの飼育を検討している人は、今回ご紹介した問題の事前の理解が求められそうです。

古くから犬は安産の守り神だと言われてきたのに、その体形のために難産で出産が命懸けになってしまったブルドッグ。しかし、ブルドッグの祖先は現在の姿からは程遠く、アメリカン・ブルドッグに近い体形・容姿だったのをご存知ですか?

なぜこうなってしまったのか、純血種とは何か、犬種のスタンダートとは何か。ブルドッグが直面している問題を通じて、それらの理由や意味を考えるのに良い機会ではないでしょうか。

参照:Will This Beloved Breed Be A Victim of Its Own Popularity?

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この記事を書いたライター

Tsunayoshi オリビア
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