【獣医師監修】犬が皮膚(体)を掻いている。この症状から考えられる原因や病気は?

犬が皮膚(体)を頻繁に掻いているときは、毛をかき分け、皮膚の様子を観察してください。ストレスや違和感によるケースもありますが、何らかの炎症が起こっている可能性もあります。痒み(かゆみ)で犬が皮膚をしきりに舐めたり掻いたりすると症状が悪化してしまうので、早めに獣医師に相談しましょう。

更新日:

先生にお聞きしました
江角 真梨子 先生
株式会社VDT(獣医師)
一般社団法人「日本獣医皮膚科学会」認定医
一般社団法人「日本コスメティック協会」 認定指導員(獣医師)

【資格】
獣医師

株式会社VDTに所属し、各地の動物病院へ出張して皮膚科診療を行っている。

ペットの皮膚への造詣の深さはもとより、飼い主にわかりやすい説明に定評があり、セミナーやイベントなどでの講師経験も多数。
続きを読む

犬が皮膚を掻いている【考えられる原因】

精神的な要因

ANURAK PONGPATIMET/ Shutterstock.com

精神的な要因

人間と同様に、癖(くせ)や軽度のストレス、なんらかの違和感があり、皮膚を掻くことがあります。

アレルギー反応

アトピー性皮膚炎

室内ダニや花粉、環境中の物質などがアレルゲンとなって皮膚炎を起こしている可能性があります。

原因を特定するために、病院で検査してもらったほうがよいでしょう。

ノミによる急性アレルギー反応

ノミの唾液がアレルゲンとなって炎症を起こしている場合があります。

ノミによる急性アレルギー反応

February_Love/ Shutterstock.com

肌の細菌や真菌の増殖

ブドウ球菌(細菌)の増殖

犬の表皮のバリア機能が崩れてしまうと、常在しているブドウ球菌が繁殖しやすい状態になります。

ブドウ球菌は毛穴の中に入り込みますが、初期症状としては皮膚が赤くなります。

症状が進むと湿疹ができて、がたまり、弾けますが、痒く(かゆく)て掻いてしまうとさらに悪化し、同じサイクルを繰り返すようになってしまいます。

マラセチア(酵母様真菌)が増殖

皮膚が重なる脇の下や股、指の間などが赤みを帯びていたら、マラセチアの増殖が考えられます。

マラセチアは、皮脂の分泌が過剰になっている状態の時に住み着きやすくなります。

マラセチア(酵母様真菌)が増殖

Kittima05/ Shutterstock.com

寄生虫

毛包虫の感染

顔や全身に赤いブツブツができると、毛包虫(ニキビダニ、アカラス)に感染している可能性があります。

疥癬(かいせん)の感染

耳の縁や皮節(膝、肘、かかと)などに赤いブツブツができると、疥癬(イヌヒゼンダニ)に感染している可能性があります。

犬が皮膚を掻いている【こんな場合は要注意!】

犬が皮膚を掻いている【こんな場合は要注意!】

Pressmaster/ Shutterstock.com

犬は痒みがあると、痒いところを「後ろ足でしきりに掻く」「噛む」「舐める」「かじる」「床や壁にこすりつける」といった動作をします。

痒いところが炎症などを起こしていて、そこに刺激を与え続けると、症状が悪化してしまう可能性があります。

以下の症状が見られる場合は、早めに病院で診てもらいましょう。

しきりに掻いたり舐めたりしている
毛穴に赤いブツブツがある
発疹が環状に広がってフケが出ている
肛門の周りなどの粘膜が赤くなっている

.

犬が皮膚を掻いている【この症状で考えられるおもな病気】

犬の角化異常症(かくかいじょうしょう)

SeaRick1/ Shutterstock.com

犬の角化異常症(かくかいじょうしょう)

犬の角化異常症(かくかいじょうしょう)とは、表皮の代謝異常が起きる病気です。

表皮から角質細胞へ変わるサイクルが異常に早くなるため、皮膚の乾燥やフケが出たり、脂っぽくなったりします。

犬のアトピー性皮膚炎

犬のアトピー性皮膚炎とは、ダニや花粉などの環境中のアレルゲンが原因で皮膚炎を起こす病気です。

強い痒みで体をかいたり、舐めるため、皮膚が傷つき、ただれることもあります。

悪化すると、皮膚が厚く硬くなり、色素沈着も起こります。

犬のアトピー性皮膚炎

fetrinka/ Shutterstock.com

犬のノミアレルギー性皮膚炎

犬のノミアレルギー性皮膚炎とは、ノミのアレルギーによる皮膚炎です。

ノミが体表から吸血する際の唾液がアレルゲンとなり、痒みや赤い発疹、脱毛を引き起こします。

特に、症状が出やすいのは、背中から腰にかけてです。

犬の表在性膿皮症(ひょうざいせいのうひしょう)

犬の表在性膿皮症(ひょうざいせいのうひしょう)とは、毛穴や皮膚に、細菌が感染して起きる皮膚疾患です。

痒みを伴う丘疹やかさぶたができ、その後、膿疱や脱毛、フケが現れます。

犬の表在性膿皮症(ひょうざいせいのうひしょう)

Dora Zett/ Shutterstock.com

犬の皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)

犬の皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)とは、真菌が原因で起きる皮膚病です。

円形に毛が抜け、掻いてかさぶたができます。人畜共通感染症のひとつです。

犬のマラセチア皮膚炎(脂漏性皮膚炎)

犬のマラセチア皮膚炎とは、皮膚に常在するマラセチアが脂質の過剰分泌等により、増殖して痒みや赤みを引き起こす病気です。

脇や股、指の間に発症しやすく、強い痒みでひっかいたり舐めたりします。

犬のマラセチア皮膚炎(脂漏性皮膚炎)

cynoclub/ Shutterstock.com

犬の疥癬(ヒゼンダニ症)

犬の疥癬(かいせん)とは、表皮に寄生する、ヒゼンダニによる感染症です。

耳、肘などに起こりやすく、激しい痒みに襲われます。

痒みだけでなく、フケが出たり、脱毛が全身に広がることがあります。

犬の毛包虫症(ニキビダニ症、アカラス症)

犬の毛包虫症(もうほうちゅうしょう)とは、毛包に寄生する毛包虫(ニキビダニ・アカラス)が異常増殖し、炎症が起きる病気です。

目や口の周り、四肢などに脱毛が見られ悪化すると、痒みやフケ、皮膚のただれが現れます。

みんなのコメント

肉球大好き♡さん
我が家のトイプーも毛が長くなってくると、 かゆそうにすることがあるので、いつもノミなどの 寄生虫が気になります。 普段から犬の様子に気を付けることが大切ですね!

あなたも一言どうぞ

コメントする

編集部のおすすめ記事

内容について報告する

関連する情報をもっと見る

「症状」の人気記事RANKING